ブラックチェリーと聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。さくらんぼの一種?　アンティーク家具がお好きな方にとっては、お馴染みの樹種かもしれません。家具の業界では“ブラック”を取って“チェリー”と呼ぶこともあります。

今回は、私たちが作る家具の中で、オークに次いで人気のブラックチェリーについて、この樹種ならではの特徴や家具の取り扱いについてご紹介いたします。

「ブラックチェリー」ってどんな木？


写真上は加工前の原木、厚みを揃えて製材されてる状態です。写真左は原木の中でも幹の外側に近い部分、外側に近いところは白っぽくなります。写真右は、大きな節などを取り除き製材したものになります。木肌はきめ細かく、比較的軽い丈夫な木材です。

主に、アメリカの東部全域に生育しているものが家具材に使われています。サクラ属の木で、アメリカに30種類ほどあるなか、大木になるのはこのブラックチェリーぐらいだと言われています。

見た目でわかるチェリーとオークの違い


写真左はブラックチェリー、右はオーク材です（共にオイル仕上げ）。この2樹種を比べてみると、ブラックチェリーの木目は間隔が狭く細くなっていることがわります。これは、樹が吸収した水分を枝葉に送るための管（導管）の大きさや並びが、他の樹種よりも細く、導管が無数に散らばる木材の特徴です。繊細な導管により木目が曖昧になることで、しなやかで優しい印象が生まれます。ちなみにオークは導管が年輪に沿って配列される木材に分類されます。木質感がはっきりとして、力強さも感じられます。

導管や年輪の話となると少し難しくなりますが、大地に根を張り大きく成長した植物、それが天然木本来の姿。知っておくと、お使いいただく中で自然を身近に感じることができるかもしれません。

ブラックチェリーの特徴的な杢目

写真左の黒っぽい筋のようなものを“ガムスポット”と言います。これは、樹木が成長する過程で蓄えた樹液が固まったもので、黒い点状や筋状に現れるチェリー材特有の杢目です。写真右は波杢（なみもく）と言って、静かに寄せる波のような模様を指します。成長過程で、自重や風などの影響を受け生じると言われています。磨くことでより光沢が出てきます。

最大の特徴「経年変化」

ブラックチェリー最大の特徴は“経年変化”です。写真左は製造したばかりのリビングテーブル、右は1年半ほど経過した状態です。オークやウォールナットも経年変化しますが、このようにチェリー材の経年変化は顕著に現れます。はっきりと濃い色味に変化していきますので、時間の経過とともに愛着も湧いていきます。

ご新築時の家具や記念のプレゼントであれば、「あれから◯◯年」とチェリーの色味でノスタルジックに時を感じることができるでしょう。家具になっても“ 育ち続ける木 ” と言えますね。

ブラックチェリーの家具と上手に付き合う


チェリーの家具を購入する前に、知っておきたい注意点とポイントがこちらです。

・あっという間に日焼けします
・色の違いも馴染みます
・オイルメンテナンスでどんどん良くなります

長い期間、ダイニングテーブルにテーブルクロスを一部だけ敷いたり、中央にテーブルランナーや花瓶などを置いていると、隠れている部分だけ日焼けが進まず境目ができてしまいます。特に窓辺は要注意、あっという間に日焼けしてしまいます。直射日光は避け、適度にものを動かして部分焼けを防ぎましょう。

ただし、日焼けあとがついてもご心配なく。チェリー材は色の変化が大きい分、日焼けあとも時とともに目立たなくなっていきます。また、同じ木でも濃淡の違いがあります。木材同士の色の違いがあっても経過とともに馴染んでいきますので、これも気長に待ちましょう。

アンティーク家具としてブラックチェリーの家具は人気です。新品よりも価値が上がる場合もあります。新しく購入したチェリー材の家具もオイルメンテナンスを重ねることで、艶やかなあなただけのアンティーク家具になっていきます。手をかければかけるほど応えてくれる材なので、きれいに経年変化すれば達成感もひとしおです。

チェリーの家具への配慮

ここまで、ブラックチェリーの特徴と注意点を解説してきましたが、お届けする前に日焼けや経年変化をしてしまっては元も子もありません。工場内でブラックチェリーの注文品を保管する際は、毛布や布団で完全に覆って大切に製造管理しています。また、オークやウォールナットに比べ、在庫品としての製造も少なく、保管期間にも気を配っています。

ブラックチェリーという選択

天然木のブラックチェリーの家具は、家具ライフスタイルショップやメーカーの直営店など、専門的な知識を持った家具屋さんで取り扱っていることが多く、オーダー家具ならではの木材です。経年変化の特徴を知っていただき、ぜひ一生使い続ける家具としておすすめしたい素晴らしい樹種です。家具をご検討の際は「ブラックチェリー」を選択のひとつに入れてみてはいかがでしょうか。

写真上：JASMINEダイニングテーブル1800、JASMINEダイニングチェアH（オーク×ブラックチェリー）　写真下：HIMAWARIリビングボード880

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