【協同制作】高校生のデザインをカタチにする。currently translating...
date.2018/08/28 category.納品事例
今年はこれまでにない猛暑となり、日本各地で注意警報が鳴り響いた7月。私たちの工場も、連日、厳しい暑さが続きました。そんな中、昨年に続き、今年も大川市内の高校にある“住環境システム科”のみなさんとの協同制作が行われました。次々と流れる汗を拭い、制作に取り組んだ5日間。2名の学生と家具メーカーによる、ものづくり体験をレポートします。
テレビボードを企画した3年生
外形と内寸、使用感など、思い描いているものを共有することからスタートしました。頭の中のカタチを図面にするのは、ひと苦労。 制作前の準備や段取り、図面の大切さも、しっかり感じてくれたと思います。工場の中では、今回も可能な限り手を動かし、木工機械の操作も体験してもらいました(一部、見学)。
彼女がデザインした家具のパーツを、職人がテンポよく仕上げていく様子を見学しているとき、「去年の共同制作でお世話になったメーカーさんでは、機械で淵貼りをしていました。こんな風に、手加工を見るのは初めてです」と話してくれました。
他にも、ビス穴を彫るためのダンボリ機、切り出した無垢材の木肌を調える作業など、さまざまな加工を経験してもらいました。
このテレビボードは、フラッシュ加工のパーツが多く、直接加工することは少なかったですが、一つ一つのステップを踏み、職人の手から手へ渡って仕上がっていく様子をしっかり見学してもらいました。そして完成したのがこちら。とてもユニークで可愛らしい意匠のテレビボードです。
「小さな子供たちが遊びに来ることもあるので、ぶつかって痛い思いをしないように、角を思い切り丸くしたんです」と、デザインするにあたり思い描いたシーンを語ってくれました。「取っ手も、飛び出ていると足をぶつけてしまいそうなので…」ということで、開戸は前板をデザインすることで手掛けが設けてあります。
ハイチェストを企画した3年生
箱モノの産地と言われる大川市。私たちの工場も、キャビネットやチェストなど、箱モノ家具を製作するためのさまざまな機械設備が整っています。以前は、より多くの製品を仕上げることを目的とした設備、ライン体制でしたが、ニーズの多様化、暮らしの変化に少しずつ対応するうちに、一点のオーダーメイドもお受けする体制ができました。今回のハイチェストも、ふたつとないオリジナル企画。ひと部材ひと部材と向き合う職人の加工を見学してもらいつつ、淵貼り加工などの作業を経験してもらいました。
手作業は緊張しますか?と聞いてみると、「細やかな作業は、好きな方です」と頼もしい返答でした。“手を動かすことが好き”という気持ちは、きっとどんな仕事についても大事。臆することなく、いろいろな作業に挑戦する姿が、とても印象的でした。
最後に仕上がりを確認し、手掛けの金具を取り付けて完成。突板を使うことで、すっきりと均一な木目が目を引くチェストになりました。たっぷり収納できる6段仕様なので、取っ手次第で印象もずいぶん変わってきます。彼が選んだものは、横へに流れる木目を遮らず、サラリと馴染んでいて素敵ですね。
最後に…
今年の協同制作は、秋の木工まつり期間中、大川市文化センター内で開催される“大川樟風高等学校作品展”にて展示されるとのことです。どちらの作品も、使う人のことを考えたサイズ、仕様になっていて、想いを込めて制作されたからこそ、長く愛用できるデザインになっていると思います。熱心に取り組んだ5日間の集大成、ぜひ皆さまも、実物を見にお立ち寄りいただければと思います。
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